「上級国民/下級国民」 読了
「上級国民/下級国民」を読んだ。
個人的な理解のためのまとめを以下に記載する。
おすすめなので買ってください。
平成で起きたこと
会社を「正社員の運命共同体」とする前近代的な日本経済の仕組みでは、
労働市場の流動性がなくなり、若者が排除される。
このような社会でリスクをとって起業してもうまく行かない。
上記に加え、以下により報酬の高い産業から低い産業へと労働力が移動している
- 生産性の高い製造業が海外移転を進めたこと
- 大企業が企業内でリストラを進めて、労働コストの削減を求めて子会社に仕事を担わせた
- 雇用の増加の大部分はサービス産業で生じている
結果として以下が発生しており、これにより様々な問題が表面化してきている。
- 一人あたり名目GDPが1990年台の日本はベスト5常連だったが、2018年は世界26位
- 日本の労働者が生み出す一人あたりの利益が主要先進七カ国では1970年以降最下位が続いている
- 平成の日本の労働市場では、若者の雇用を破壊することで中高年の雇用が守られた
- 55歳未満で2年以上働いていない人が、ある町では男性10%、女性5%であった
令和で起きること
団塊の世代は人口が多く、団塊の世代を攻撃するようなことは報道機関も、政治も、官僚も行えない。
これによりジリ貧になる。
団塊の世代が現役を引退したことで、日本的雇用の改革が始まってきた。
平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る世代だったとすれば、
令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」になるはず。
日本のアンダークラス
中卒・高卒の失業率が高くなっている。
教育の本質は「上級国民/下級国民」に社会を分断する「格差拡大装置」である。
リベラル化する世界
農業革命が人口爆発を起こしたとすれば、
産業革命は豊かさの革命を引き起こした。
この豊かさを背景に、価値観の大きな転換が起こる。
「私の人生は私が自由に選択する」
日本は戦前(前記昭和)だと人生を選択する思想は持てなかった。
リベラル化することで身分制社会から能力主義の時代となった。
能力主義により、自分で選択できるようになったが、その結果も引き受けるようになり
自己責任の世界となった。
リバタニアとドメスティックス
グローバル化によって、以下に分かれている。
- 国境をまたいで活動する人 → リバタニア
- ナショナリズム(国)を第一に考える人 → ドメスティックス
また、グローバル化によって、世界が全体としてゆたかになった代償として
先進国の中流層が崩壊した。
崩壊した層がトランプ大統領を支持している。 このようなことは世界各国でおきるであろう。
知識社会の終わり
ベーシックインカムはなぜ破綻するのか?
世界には貧しい人が大量におり、
日本がベーシックインカムを導入すると、
仕事をせずに海外の貧しい女性に「日本人」の子どもを産ませて楽に暮らそうとする人が出てくる。
知能の違いが、人生に影響しなくなれば「知識社会」は終わり、
知能格差によって引き起こされる「上級・下級」の分断がなくなる。
もしかしたら令和の時代のあいだに「知識社会」の終わりを目にすることになるかもしれない。